現代社会は,データや情報によって理解され,また形作られています。しかし,データや情報はそれ自体が「答え」を与えてくれるものではありません。むしろ重要なのは,「どのような問いを立てるのか」「その問いに対して,どのように情報を読み解くのか」という点にあります。
大学では,身の回りの現象をそのまま受け取るのではなく,「それはどのように成り立っているのか」「他の見方はあり得るのか」と問い直します。そして現代では,その問いを支える手段として,データ分析やプログラミング,テキストの計量分析といった方法が重要になっています。
私は専門が計量言語学なので,言語資源やことばを見て,「どのような視点と単位で測るか」をデザインする方法に関して共有したいと考えています。授業では,こうした方法を単なる技術としてではなく,「考えるための道具・分析対象と向き合うための技法」として扱います。データを集め,分析し,結果を可視化する一連のプロセスを通じて,分析対象について「何を・どのように明らかにできたか」を他者と共有可能な言葉で説明する力を身につけることを目指します。
同時に,データやグラフ,AIの出力といった情報は,常に限界や前提を持っています。それらを無批判に受け入れるのではなく,「どのように作られたのか」「どこまで信頼できるのか」を考え続ける姿勢が求められます。
うまくいかないことや試行錯誤も含めて,大学での学びの中心は「考える過程」にあります。自分なりの問いを持ち,データと言葉を使ってそれを探究する力を,授業を通して一緒に育てていきましょう。