本論文は,1981 年 1 月から 2015 年 12 月までの 420 か月における日本の家計の消費支出データ(個票データ)約 330 万件を使い,家計にとって保険をかけることのできない家計固有の所得ショックがアセットプライシングにどのように影響するのか分析している.実証分析は,家計の相対的消費成長のクロスセクション歪度が,日本の株式市場に長期間に渡り存在するバリュープレミアム(バリュー株リターンとグロース株リターンの差)を説明することを示唆している.これは,不完備消費保険仮説を支持する結果である.