組織論の多くの研究は、小集団以上、社会全体未満である「中範囲の」コミュニティー(血縁・同郷者のネットワークや取引や雇用関係によって形成される企業集団などの成員と非成員を区別する基準が明確な集団)を分析対象としているが、従来のアプローチ方法では十分な分析が困難であった。そこで、本研究では、特定コミュニティーの営為の分析に適した「コミュニティー・キャピタル」を起点とし、さらに発展させる形で、その有用性を、社会的刷り込み、同一尺度の信頼、準紐帯という3つの相互に関連する鍵概念を通して、実証的に示すことを目的とする。