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Name Urushizawa Sonoko
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元禄期に活躍した作者近松門左衛門は、芸の醍醐味を「虚実皮膜」にあると書き残していると言われています。「虚実皮膜」とは、虚構(ウソ)と現実(本当)との狭間という意味。つまり、ウソなのか本当なのか判然としない境地こそが、芸の醍醐味だというのです。芸が織りなす世界は虚構にすぎません。それでもなお、芸の世界に心惹かれるのは、その虚構の世界に身を置いた時、それを「現実」のものとして受けとめてしまうからです。芸が織りなす世界は、虚構という名の「現実」へと誘ってくれます。こうした情況は、なにも芸能にかぎったことではありません。情報が錯綜するウェブ上の世界に没頭する心境とも、共通しているのではないでしょうか。今も昔も、「虚実皮膜」の境地は人々を虜にするようです。かくいう私も、まだまだ当分この「皮膜」から抜け出せそうにありません。