本研究はこれまで沖縄島の政治史中心に描かれて来た中近世期の琉球史について、民衆史・周縁史の観点から再検討することを目的とする。琉球諸島とひとまとめにすることが困難な特徴を周辺諸島は多く有するが、調査研究例が豊富とは言えない。本研究では具体的な対象として宮古島の特徴的な囲壁集落を取り上げる。囲壁を伴うことから沖縄島を中心に分布したグスクに類するものと捉えられてきたが相違点が多く、むしろ中国南部の集落に類例があるとも報告されている。具体的な遺跡調査を通じて個々の遺跡の性格を明らかにし、今まで検討されて来なかった中近世琉球の民衆史・周縁史を追究して、新たな歴史像を描き出すことを最終的な目的とする。