女性のうつ病は男性に比して約2倍の有病率を示し,WHOが発表した障害調整生存年数において,近い将来に心疾患,交通事故をおさえて第一位になることが予想されている。
本書は,女性のうつ病について,精神科医のみならず臨床心理や社会学の専攻者も参加し,女性の生理的,心理社会的特徴を女性のうつ病に欠かせない視点として考察すると同時に,それらがうつ病の発症にどのように関連し,治療上どのような配慮が必要かを明らかにしようと試みたものである。繊細で傷つき易い女性の心理社会的側面を重視しながらの教育的支持的なアプローチの方策が本書のメインテーマとして貫かれている。著者は全員第一線で活躍中の女性臨床医や臨床心理士,社会学者であり,正に「女性による女性のための」うつ病ガイドブックになっている。
女性のうつ病を全方位的な見地から捉えた臨床家必携の一冊。