ひとりの男性が、退職のパーティーの夜から、認知症の症状を呈するようになった。44年連れ添った妻は、混乱の様子を録音テープに残していく。「あのとき、お父さんは、こんなとぼけたことを言っていたのよ」と言って笑い合いたいと、思ったからだ。ある日、妻は、夫にハーモニカを吹くことをすすめる。ハーモニカは二人が貧しい頃、ただひとつの楽しみだった。「お父さん、あのころのように、またハーモニカを吹いて見せて・・・」、妻の願いに夫はこたえようとする。
多くの人びとの感涙を呼んだラジオドキュメンタリー作品。イタリア賞でも、高い評価を得た。