本科研は、グローバル化と同時進行的に成長しつつある様々な原理主義を理解する試みを通じて、地球規模的視野から現代世界の諸問題の解明を目指すプロジェクトであった。具体的には(1)ヒンドゥー至上主義研究、(2)イスラム主義研究、(3)アメリカニズム(アメリカ的原理主義)研究、(4)原理主義的心性の構造と特性研究(ユダヤ主義研究含む)の4班で研究を担当し、地域横断的・複眼的な「原理主義」理解を検討することができたと考えられる。グローバル資本主義がますます加速する今日、格差は地球規模で拡大しつつある。本研究を通じて、経済格差のみならず、医療や教育、情報などの諸権利へのアクセスまでも制限され、生命を脅かされている多くの人々が、現状を告発し、克服することを目指す原理主義的思想・運動に共鳴しているという事実が明らかにされたと考える。この認識を成果として、今後のグローバリゼーション状況に関わる諸研究の基礎となることが願われる。