1998年度は、先行的研究「戦時動員と構造変動」の成果をいかに発展的に活用していくのかに腐心する時期であった。あらためて内外の研究者のネットワークを構築するとともに、7月に、「帝国の総力戦と植民地空間--そのねじれと転位」を開催し、総力戦テーゼとポストコロニアル研究との接合という企ての端緒を模索した。また、従来の研究のひとつの達成として、Total War and"Modernization"をCornell University Pressから公刊し、研究の具体的成果が英語圏の研究者にとって直接アクセスできるものにすることができた。2000年度においては、本プロジェクトの総力をあげて、「戦後東アジアとアメリカの存在--《ポストコロニアル状況》を東アジアで考える」と題する大がかりなワークショップを成功させた。これは、2001年1月26日-27日の二日間におよぶものであったが、たんに戦後東アジアの忘れられた諸問題を主題化しただけでなく、従来の理論枠組みやカノンを根本から再検討する作業となった。