一語一語の言葉と向き合い、「読む」という行為を大切にしています。現実とは異なる一つの世界を立ち上げる文学の言葉には、日常の言葉よりも複雑な意味作用がそなわっています。文学作品をあらゆる角度から読み解くことで、言葉が持つ豊かな機能を引き出し、自身の言葉で物事を考えることができるようになることを目指します。
ゼミナールの中では、ともに言葉について考えること、他の人の課題にも興味を持ってお互いに言葉を届け合うことを重視します。また、指導として論文の方向性について相談に乗ったりアドバイスをしたりはしますが、基本的には自身の問いを見つけて追究してもらうことをサポートするスタンスです。
中学高校時代に「国語」の授業が好きだったり興味を持ったりした人、将来中高の国語教員を目指す人はもちろん、広く「詩」や「物語」に関心を持つ人は、是非一緒に文学について学びましょう。
私の専門は一九二〇年代~三〇年代の小説ですが、卒業論文では広く近代文学全般を指導します。これまで、三・四年次ゼミナールで学んだ方は、樋口一葉、泉鏡花、押川春浪、夏目漱石、森鷗外、永井荷風、有島武郎、谷崎潤一郎、川端康成、横光利一、北條民雄、梶井基次郎、尾崎翠、中島敦、夢野久作、宮澤賢治、中原中也、中野重治、八木重吉、寺山修司、三島由紀夫、安岡章太郎、岡本かの子、福永武彦、安部公房、澁澤龍彦、庄野潤三、林芙美子、林京子、久坂葉子、村上龍、大江健三郎などについて卒業論文を書きました。