融資と株式所有によって特徴付けられるメインバンク(以下MB)と融資先企業との関係(以下MB関係)は、主にファイナンスや経済学の文脈で研究が蓄積されてきた。しかし、会計学の文脈でMB関係を検証した研究は限られており、研究すべき余地が多く残されている。本研究の目的は、(ⅰ)MB関係が融資先企業の会計行動に及ぼす影響を明らかにすること、および(ⅱ)MB関係を通じて融資先企業に影響を与えうる銀行の会計行動について明らかにす
ることである。会計学の文脈でMB関係を検証することは、近年変化が著しい銀行規制や会計規制の経済的帰結を明らかにする上で大きな意義を有すると考えられる。本研究によってMB関係と銀行および融資先企業の会計行動との関係性が明らかとなれば、より効果的な銀行規制や会計規制の立案につながるだけでなく、銀行・融資先企業の効率的なガバナンスの構築に貢献することが期待される。