本論文は比較的新しい大衆演芸の一ジャンルであるニュー・バーレスクの分析をパフォーマンススタディーズに組み込むための基礎研究として行った研究動向論文である。ニュー・バーレスクとは、ステージで服を脱ぐストリップティーズを軸にファンダンス、ポールダンス、コメディや朗読まで雑多なパフォーマンスを組み込んだショーであり、近年北アメリカやヨーロッパなどでパフォーミングアーツとして大きな注目を浴びている。本レビューにおいては、女性が服を脱ぐというバーレスクのパフォーマンスは性の商品化や男性中心主義的な規範にのっとった画一的な女性美を称揚する傾向に与してしまうものであるのか、それともそうした男性中心的・道徳主義的・商業主義的なコードを辛辣に諷刺し女性の自由な自己表現・自己肯定を促すものとしてジェンダー・エンパワーメントの文脈に位置づけられるものなのかという論点を主軸とし、主要な先行研究を整理した。